wsfpq577’s blog

日本中世史専攻、大学非常勤講師などで生活の糧を得ていますが(求職中)、ここでの発言は諸機関とは全く無関係です

「ガンジスに還る」

引き続き夜の映画鑑賞の記録。めぼしいものが見当たらなかったので定番の岩波ホールで表題のインド映画を観覧http://www.bitters.co.jp/ganges/。監督は27歳のインド人で資本もインドらしく、使用言語も気取ったシーンのみ英語でいくつかある現地語の一つと思われ、歌も踊りもない作品。死を意識してガンジスのほとりの聖地バラナシで過ごす父、それに付き添うコンピューターと携帯電話を駆使する勤務する息子、何かとスマホで写真を撮りたがるものの父の決めた相手との結婚を控えたその娘という、三世代の意思疎通のズレをめぐる物語が、現地の土俗的な風景の中で緩やかに展開し、死について考えさせられるもの。ちょうど母の死。父の施設入所を経験した身としてもいろいろ振りかえさせるとともに、自らの孤独死も改めて意識させられることになった。やはり結婚できればよかったとは今更ながら思う典型的な「弱者男性」なのだと自覚する・・・。