wsfpq577’s blog

日本中世史専攻、大学非常勤講師などで生活の糧を得ていますが(求職中)、ここでの発言は諸機関とは全く無関係です

大阪歴史科学協議会一月例会

土曜日は案内はがきhttp://blogs.yahoo.co.jp/osaka_rekkakyo/18342285.htmlに惹かれて久しぶりに参加してみた。古代史研究のスペシャリストたらんと志してきた報告者が、「最初で最後」と断って自身が現代社会をどう認識しており、歴史学の存立基盤さえ失われている状況をリアルに認識しつつ、なお自らの持ち場である古代史研究の場にとどまって「学問の連鎖」のなかに身を置くことを宣言したもの。自らは詳細なメモを用意しておきながら、レジュメすら配布せず録音も断るという徹底ぶりで、報告者が多様な現代科学に目配りをして現代の諸問題を深く受け止めながら研究面では一切それを表に出さない「実証主義的な歴史学」にこだわり、それを超えた「生き方としての歴史学」「運動としての歴史学」を標榜した「科学的歴史学」と距離を置いてきたという緊張関係が非常によく伝わる報告だった。私自身には学部時代から後者のスタンスに強い影響を受けてきた一方で(なんとその時の一番の恩師といえるY先生も来られていた)、大学院時代に前者の方法のもっとも深い部分を報告者から学んだということもあり、改めて自らの歴史学への認識を確認する機会となり、討論でも通史的把握の必要性と歴史教育の重要性について不充分ながら発言した。出席者の発言も同じく自らのスタンスの表明で、Y先生や同じく思いがけなく遠方から来られた方々など、私にとってもそれぞれの発言に個性とある種の懐かしさを感じることができた。報告者は疲れたと言うことで帰宅されたが、17:00ごろからそうした古くからつきあいの深い方々との飲み会となり、Y先生の以前と変わらぬ歴史学への情熱と矜持に接することができた。19:00すぎに帰宅されるY先生をお送りして五人で2次会にすすみ、委員会後に合流した二人とあわせて11:00過ぎまで大いに酒を飲み議論を続けた。報告も飲み会も当初からすると思いがけない機会となったが、非常に充実したものとなった。