wsfpq577’s blog

日本中世史専攻、大学非常勤講師などで生活の糧を得ていますが(求職中)、ここでの発言は諸機関とは全く無関係です

和田春樹『これだけは知っておきたい日本と朝鮮の100年史』

今朝の通勤途中の地下鉄で人身事故があり、運転を見合わせるというアナウンスが入る。非常に焦ったがもう一駅だけ進むことになり乗換駅にたどり着くことができた。もう一つタイミングが早く事故が起きていたら、駅からタクシーを使わなければならなかったところで、珍しく運に恵まれた。さて本書は最後の授業および学生レポート用に利用できるかもということで金曜日に書店で購入して、昨日の通勤途中で読み終えた。日清・日露戦争から韓国併合、3.1独立宣言、金日成の抗日戦争、8月15日論、朝鮮戦争金正日論がそれぞれコンパクトにまとめられており、利用できそうだが、日露戦争の評価が日ロ妥協が不可能というもので、少し以前に終えた授業で日露間の帝国主義分割は可能だとしたのとと異なるのが問題か。個人的には金日成の軍事闘争が結構がんばったものだったという評価(何となくソ連に取り入っただけという感覚があったのだが)、同じく金正日が単なるぼんくら息子ではなくいろいろ配慮のできる政治家で小泉訪朝で足をすくわれたという評価が興味深かった。そうしてみると小泉訪朝後の対北強硬論はどこから発信されたのか気になるところだが、著者もそこまでは踏み込んでいない。なお著者はロシア史の専門家で、1970年半ばに韓国民主化運動への連帯から独学で韓国語を学んで研究するようになったという。すでに30代で研究職にあった中でなかなかできることではなく、自らの怠惰に比べて感心させられるところであるhttp://www.heibonsha.co.jp/catalogue/exec/browse.cgi?code=85_560。ようやく明日で今年の授業が終わるが、残りの授業の準備・来年度のシラバス作成などが全く終わっていない。冬休みもそれに追われてしまいそうだが、何とか論文執筆にも取りかからなければならない。