wsfpq577’s blog

日本中世史専攻、大学非常勤講師などで生活の糧を得ていますが(求職中)、ここでの発言は諸機関とは全く無関係です

金賛汀『韓国併合百年と「在日」』

昨晩は久しぶりに一杯飲んでいっぱい食べた。今年の外仕事が終わったという少しばかりの開放感と、昔からの知り合いということもあり、誰かの行きつけの店というのも何となく雰囲気があってよかった。そうはいっても授業準備は残っており、本書もそのために読了したもの。戦前以来の在日の生活について様々な角度から記されており、いろいろと興味深い。右派の支援で当選した朝鮮人国会議員とそのために落選した浅沼稻次郎の話は使えるネタで、戦時動員労働者のための「労務慰安婦」まで存在したことには驚かされる。また戦後の朝鮮総連・民団の動きについても整理されており、やはり「在日」というのは戦後日本を考えるキー・ポイントとなることが実感させられる。なおこの前の和田春樹の著書が特定場面を切り取ったため金正日に同情的になっているが(「拉致」に関する謝罪という譲歩が足下をすくわれたという見方は事実なのだろうが)、やはり全体的に見るとろくでもないことが本書ではよくわかる。ところどころに荒っぽい叙述も見られる点と、在日二世としての著者個人の歩みに触れられていない点は少し残念だが十分に使える本といえるhttp://www.shinchosha.co.jp/book/603658/。さあこれから授業準備に取りかかろう。原稿催促のメールも届いているのだが・・・。