wsfpq577’s blog

日本中世史専攻、大学非常勤講師などで生活の糧を得ていますが(求職中)、ここでの発言は諸機関とは全く無関係です

西村秀樹『大阪で闘った朝鮮戦争』

今年から担当している通年の日本史概説では近代編に突入しているのだが、こちらのこれまでの蓄積ということから大阪ネタ(経済史)と対外関係史を交互に行いながらすすめており、最後は朝鮮戦争から55年体制で落とす予定にしている。そういうわけで朝鮮戦争がらみの文献を集めていて、本書も出版されたときから気になっていたので図書館で借りてきて読了。朝鮮戦争のさなかに武装闘争路線をとった共産党在日朝鮮人たちが武器輸送を止めるために国鉄吹田操車場に突入して、警官隊と衝突して騒擾罪に問われた吹田事件、同じく大阪砲兵工廠枚方工場に事件爆弾を仕掛けた枚方事件について、毎日放送記者である著者が関係者へのインタビューなどでまとめたもの。内容は大変おもしろく関係者一人一人の人生には重みがあり、右派経済評論家の長谷川慶太郎共産党の阪大工学部細胞責任者として枚方事件に関わったなど思わぬ発見もあった。もっとも当事者がいかに真剣であったとはいえ、事件そのものは小さな打ち上げ花火のようなもので、全く展望のないものだったことは明らかで、どう授業に組み込めるかは考えるところ。なおインタビュー対象として登場するのは、現在は共産党とは関係ない人々のみで、弁護士として実名で登場するもと国会議員、事件立案者とされるQという刊行時の党内における地位が明記されており特定可能な個人について、インタビュー要請をしたかどうかすら明記されていない。どういうわけか毎日放送では日曜深夜に硬派のドキュメンタリーが放送されており(最近は全く見ていないが)、著者はその中心にいるようでその人脈が中心になっているようだhttp://www.iwanami.co.jp/.BOOKS/02/X/0223780.html。PCは相変わらずの雑不調が続いており、本ブログ執筆途中にも消えるかもしれないという事態が起こる。本当に困ったものだ。