wsfpq577’s blog

日本中世史専攻、大学非常勤講師などで生活の糧を得ていますが(求職中)、ここでの発言は諸機関とは全く無関係です

「中世京都の治安と防備」

昨日の午後は久しぶりに京都で文書写真のコピー。夏前に始めたものでかなり時間が空いてしまった。田畠に比して山売券の低価格の理由が相変わらずよくわからない。「かや山」・「くさかり山」などと明記されているものは用途がはっきりするのだが、地点表記のみのものはどういう実態を持っているのだろうか。はげ山ではないかと考えているのだが、はっきりした根拠が得られていない。今日は「勝手に研究日」なので、翻刻に当てるつもりだったのだが、だらだら過ごしてしまう。ふとポストをのぞくと河音能平著作集第2巻『天神信仰と中世初期の文化・思想』(http://www.bunrikaku.com/book1/book1-631.htmlアドレスは第1巻のもの)・某購入本とともに、『歴史と地理637日本史の研究』が届いていた。どういう意図で人選がされたか不明だが昨年原稿依頼があり、6月に何とか書き上げたもの。高校教員向けということもあって、与えられたテーマをどう料理するかかなり悩んだあげく、強訴・徳政一揆に共通する京外に防衛ラインを設定してその内部では本格的戦闘は行わないという意識について述べ、院政期から鎌倉期までの治安体制を概観するにとどまった。ほとんど元木泰雄・野口実両氏の研究に依拠したオリジナリティの乏しいもので、野口論文の地図まで拝借することになった。本当にこういう媒体への執筆能力のなさを感じてしまう。とにかく先学に感謝いたします。