wsfpq577’s blog

日本中世史専攻、大学非常勤講師などで生活の糧を得ていますが(求職中)、ここでの発言は諸機関とは全く無関係です

川北稔『私と西洋史研究ー歴史家の役割』

近所の図書館(某市立大学)が来週一週間夏休みになるとのことで、その前にふと立ち寄ってみる。当初の目的はコピーし忘れの雑誌のチェックだったのだが、諸事情で購入しなかった近刊に目がいき、本書を含めて5冊を借りてくることになった。当座の仕事がないわけではないのだが、どうもやる気にならす、半分は自己逃避、半分は研究動向の見直しを期待してのもの。貸し出しカウンターに見慣れない若い女性が立っていると思ったら、会社名の入った名札をつけており、どうも業務請負になったらしい。七月にいったときは以前の職員が出納をしていたはずで、夏休みだけの処置なのか、引き続き続くのかよくわからないところ。ころころ人が変わることになると、図書館にとって決してプラスにはならないのだが・・・。本書はインタビュー形式で読みやすいこともあって、帰宅して3時間足らずで通読する。内容は1940年生まれの著者の研究歴と問題関心が、さまざまなエピソードとともに語られており、その優秀さ・先駆性が際だつ作りになっている。3年前から講義科目「人類の歴史」を担当しているが、そこでもっとも役に立ったのが川北氏の一連の著作で、そういう意味では改めて感心させされる。またポメランツの中国とイギリスの比較を規模が違うと一刀両断に切り捨てるところなど、自身がグローバル・ヒストリーに抱いていた疑問ともつながるところがあって、たいへん勉強になった。その一方で著者自身の葛藤があまり見えなかったところと、今後の学界の展望についてもう少し具体的に語ってほしいと感じた点で、不満も残った。そういう意味で、購入せずに一読して返却ということで、間違いではなかったとも感じられるhttp://www.sogensha.co.jp/shohyo/2010/05/post-50.html。昨日で旧PCからメールも移行させ、仕事は新PCに移行。ワープロ変換も含めて使い勝手がよくなるまでには、当分かかりそうな状況。