wsfpq577’s blog

日本中世史専攻、大学非常勤講師などで生活の糧を得ていますが(求職中)、ここでの発言は諸機関とは全く無関係です

法勝寺八角九重塔基壇跡

京は朝から京都まで現地説明会に出かける。朝出かける時に雨が止みかけていたので、折りたたみ傘にしたところ、京都は本格的な雨で、しかもあわてて通勤用の靴を履いてきたため、足場の悪い現場で汚してしまう。そういうミスをしながら、しかも原稿が進まない中で、わざわざ出かけたかいあって現場は大したもの。白河天皇御願寺法勝寺にあった高さ27丈の八角九重塔は、院政期から南北朝期にかけての京都のランドマークタワーとしてよく知られたもので、授業でも紹介してきた。今回はその地業が発掘調査で確認され、現地説明会となったもので、河原石と粘土で固められた地業が見事に八角形に検出されていた。これだけの工事は従来の発掘調査ではなかったということで、この技術がどこから生み出されたのかが気になるところ。また瓦が多数発見されたことで、檜皮葺ではなく瓦葺きだったとされるが、展示されていたのは軒丸瓦が多数を占めており、総瓦葺きといえるかどうかはもう少し検討の余地があるのではないか。現場は京都市動物園内で入場料600円を払って中に入り、塔跡にたつ日本で2番目に古い観覧車(高さ6丈らしい)に200円払って乗り上からも現場を眺めてみたが、値段の割に施設は老朽化しておりトイレも小さかった。ライオンとトラがふて寝していたが、今後の京都市の方針が注目されるところ。早めに行ったせいか思ったほど人出は多くなく、知り合いもY夫人・T大のS教授を見かけたぐらいだった。せっかくなので南禅寺に少しだけ寄って、昼過ぎに帰り映画は断念する。7月末に短期間のみ上映するようなのでそっちに廻し、これから原稿書きに取り組む。
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緑のひもが八角形の基壇を示し、奥の石が本来の地業で、手前の石は補修のために設けられたらしい。