wsfpq577’s blog

日本中世史専攻、大学非常勤講師などで生活の糧を得ていますが(求職中)、ここでの発言は諸機関とは全く無関係です

内山節『共同体の基礎理論』

題名は言わずとしれた戦後社会科学の名著を意識してつけられたもの(一応読んだが、余り印象には残っていない・・・)。著者は外来語の共同体が人間のみの共同体を指すのに対して、日本における共同体の特質を自然と人間の双方を含むものと理解する。歴史学の視点から見ると「五ヶ条の御誓文」を明治4年とするなど事実誤認が散見され、アイヌから沖縄までを類似の自然からなる日本的共同体とみなすなど乱暴な議論もあり、武士の位置づけについても問題がある。とはいえ、著者自身の群馬県上野村での生活体験に基づく諸事象に関する解釈、多層的共同体という視角や、講も共同体と捉えるゆるやかな理解は学ぶべきところだろう。また近代的自我に関する批判もわからないではないのだが、今年の学生の状況を見ると、自我の確立すらできずに社会に放出される状況も深刻な問題だと感じられる。後段の座談会で行われているような地域作りにも、個々人の意志の力が必要なのではないか。http://shop.ruralnet.or.jp/b_no=01_54009215/ 今日も昼から総合資料館で写真帳めくりをしたが、睡魔に襲われなかなか進まない。行きの電車でも寝る時間はとれたにも関わらずこのていたらく、本当は寝酒を止めるべきなのだが。