wsfpq577’s blog

日本中世史専攻、大学非常勤講師などで生活の糧を得ていますが(求職中)、ここでの発言は諸機関とは全く無関係です

渡邊大門編『戦国史の俗説を覆す』

本日は枚方、少し減ったとはいえ京都行きの特急は相変わらず中高年の観光客だらけ(日本語話者)。今日はいつもよりは静かだったが…。電車読書は戦国もの、中世史研究者を自称しているとはいえすでに全く疎くなっている分野http://www.kashiwashobo.co.jp/book/b244530.html。13+特論2のテーマが取り上げられ、歴史小説で流布してきた俗説を否定したものが中心。特に戦争関係は近世軍記と軍の戦史がベースとなっているため、この20年来に見直しが図られてきたもの。ただ現段階で逆にはっきりしてきたのはある種の史料的限界で、明確な俗説が否定される一方で、根拠として利用可能なのは体験者の書き残したもののみで、「事実」を述べていたとしても、それが全体の中にどう位置づけられるのかは別の問題で、戦争全体を俯瞰できているのは誰もいないのが現実だろう。その点で軍事史をどう構築していくかは課題として残されていると感じた。なお個人的には俗説批判が暴走化しているとして思えない事例が含まれていなかったのがよかった。