wsfpq577’s blog

日本中世史専攻、大学非常勤講師・研究員などとして生活の糧を得ていますが、ここでの発言は諸機関とは全く無関係です

渡邊大門編『南北朝の動乱 主要合戦全録』

本日はルーティン姫路、電車で寝たつもりでも午後はヘロヘロ。その上にバタバタが重なったが、電車読書の備忘だけ片付けておく。鎌倉末期から南北朝の合一までの通史を、合戦に引っかけて11章でまとめたもの(9章立てで序章・終章とあるが、時代の最初と最後を扱っただけ)。互いに統一がとれていないと感じるところ・いくつかの誤植もあるが、近年の研究動向を知ることはできる。ただ「戦後長らく南北朝時代の研究は忌避されてきた」とはどこの国の話しなのか。戦後中世史学が南北朝封建革命説からはじまったことすら、なかったことにされてしまうのか。近年の中世史における一般書執筆者は、戦後歴史学の冒涜すればするほど売れると考えているのか。実証史家ならせめて戦前にそれだけすぐれた研究があったぐらいはあげてみればどうなのか。軍記物語を史料批判なしに扱っていた戦争研究と異なり(その延長線上に展望はないにもかかわらず、ことさらあげつらって売れたのが嚆矢となったのか)、それなりのものはあるがそれすら示されず、学問を細らせるだけ。何のために書いているのだろうか。

『南北朝の動乱 主要合戦全録』(渡邊 大門,生駒 孝臣,稲川 裕己,小谷 徳洋,谷口 雄太,千葉 篤志,秦野 裕介,前川 辰徳):星海社新書|講談社BOOK倶楽部