wsfpq577’s blog

日本中世史専攻、大学非常勤講師などで生活の糧を得ていますが(求職中)、ここでの発言は諸機関とは全く無関係です

ザ・ユナイテッド・ステイツvs.ビリー・ホリディ

自治体史から現実逃避して本日近所の映画館で観覧。麻薬に溺れ若くして亡くなった伝説のジャズ・シンガーについて、「奇妙な果実」(KKKによるリンチ殺人で吊された黒人の遺体のことを指す)を歌うことを止めさせようとした連邦政府による迫害があったという著作に基づいて描いたもの。映画では一瞬マッカーシーが出てきて共産主義・反アメリカ的と非難し、麻薬を口実に逮捕するという筋立てになっている。その時のFBIの潜入捜査官でその後も物語にからむ黒人男性の証言も残されているらしい。映画では公民権問題が強調されていたが(彼女自身その先駆として評価されているという)、「奇妙な果実」はユダヤ系のアメリ共産党員の手によるものらしく、ありえる話しなのだろう。なお映画は彼女のそれはなくとも破天荒な人生が中心で、偏見ながらとっかえひっかえ登場する黒人男性の区別がなかなかつかなかった。当時の映像が挿入され歌もレコードかと思ったが、主演女優(本来は歌手)の生歌らしい。「南部の木々は奇妙な果実をつける」から始まる歌もふくめ字幕で確認できわかりやすかった。

映画『ザ・ユナイテッド・ステイツ vs. ビリー・ホリデイ』公式サイト