wsfpq577’s blog

日本中世史専攻、大学非常勤講師などで生活の糧を得ていますが(求職中)、ここでの発言は諸機関とは全く無関係です

本間順治『日本刀』

本日は枚方3コマ、今更ながら「レポートって何」という受講者が複数いて驚かされる・・・。そんな中で電車読書は、昨年から業務の都合上で手を出しているため1939年初版本を復刊を契機に購入していたもの。古刀・新刀という歴史的展開、それぞれの評価についての刀剣史の基本的枠組みはすでにこの段階でできあがっている印象。鎌倉期を優品としつつも、古墳出土のものから大陸の影響も踏まえ、俵國一の冶金工学の成果も取り入れるなど、全体のバランスはとれておりその点では学術的。その一方で「軍刀の選び方」との項目がたてられ、実戦使用が想定され、「北満や蘇満国境」といった酷寒の地での選択など、時局を反映し、軍人勅諭をうけた「身命を鴻毛の軽きにも比した我が古武士」といった表現もみられる。日本刀 (岩波新書)