wsfpq577’s blog

日本中世史専攻、大学非常勤講師などで生活の糧を得ていますが(求職中)、ここでの発言は諸機関とは全く無関係です

デイビッド・クリスチャン『オリジン・ストーリー』

本日はルーティン姫路、ましにはなったが指のしびれはまだ残っており、1時間年休をとって病院で点滴と電気治療。あと2回で完治するかどうかは微妙か…。ただ少し待たされたこともあって、衝動買いしていた表題書を読了。副題に138億年全史とあるように、宇宙・恒星と銀河・新しい元素・衛星と惑星と惑星系・生命・人間・農耕・人新世を8つの臨界として描いた「ビックストーリー」。著者はロシア皇帝アレクサンドル1世の行政改革に関する論文でオックスフォードで博士号をとり、オーストラリアで教鞭をとって1989年に「世界史入門」というリレー講義を組織したが、同席して関連書籍を読み漁って一人で担当できるようになったという。半分以上が宇宙論・物理論・生命科学などいわゆる理系学問の解説だが、ある程度は理解できたように思える。訳者は以前に紹介した『サピエンス全史』と同じで、文章もこなれてはいる。人類の存在そのものが地球を左右できるようになってしまった現状が、逆にこのような長期的な視点を必要としていることもよくわかる。著者も第9の臨界という楽観論と悲観論を併記しているが、果たして人類そのものに未来はあるのか…。オリジン・ストーリー (単行本)