wsfpq577’s blog

日本中世史専攻、大学非常勤講師などで生活の糧を得ていますが(求職中)、ここでの発言は諸機関とは全く無関係です

畑中章宏『「日本残酷物語」を読む』

本日午前はいわゆる「戦争法案」参考人質疑。非常勤先に出かけていたが、NHKは放映を避けたらしい。わざとらしい再放送であまりにも露骨。そんな中、久しぶりの電車読書の紹介になるが、書店で何となく衝動買いしてしまったものhttp://www.heibonsha.co.jp/book/b194540.html。1960~61年に刊行された『日本残酷物語』について、その前史、内容、後史について述べられている。同書がその前のシリーズ『風土記日本』(これ事態知らなかった)とともに後に民俗学者・地名研究者として知られる谷川健一が編集者として関わっていたこと、企画は谷川が宮本常一にもちかけて実現したもので監修者としてあがる山本周五郎・山代巴・楫西光速は単なる名前貸しだったこと、文章は原作者のものを谷川ともう一人の編集者がかなりリライトしていたこと。本編5巻とともに現代編2巻が刊行されていたこと、谷川編はその後『日本庶民生活史料集成』・『日本民俗文化大系』・『海と列島文化』へと続いていくことなど、これまで知らなかったことが多数あり勉強になった。当方は98年刊行の平凡社ライブラリー版5巻で通読しており、いろいろ影響を受けたような気がするが、刊行時の状況は全く理解していなかった。それだけインパクトが大きかったということでもあるが、やはり時代背景を踏まえて再読すべきだろう。そういえば非常勤先で「回顧と展望」を見かける。予想通りだが、取り上げられなかったのは久しぶりのことになる。来年度もこのままだと微妙な状況・・・。