wsfpq577’s blog

日本中世史専攻、大学非常勤講師などで生活の糧を得ていますが(求職中)、ここでの発言は諸機関とは全く無関係です

野村伸一『東シナ海文化圏』

本日はまたまた久しぶりに電車に乗り、以前予告した講演会へ行く。PC操作で若干問題があったが、何とか無事?終えるも、やはりしゃべりの技術が不足しているのを実感。内容もマニアックかつ詰め込みすぎたため、質疑はちらほらで、アンケートもそれを批判するものと余り聞けない話を評価するものが相半ばというところ。こちらとしては担当の方といろいろお話もでき(人と会ってちゃんとしゃべるのは23日ぶり)、全体としては及第点にしておこう。本日も書店に立ち寄り衝動買いをしたため積ん読が増える一方の電車読書も久しぶりにすすみ、飛び飛びでようやく読了したのが本書。書店で見かけて「東方地中海」・16世紀までに成立した基層文化といった言葉に惹かれて衝動買いしたのだが・・・。中国江南・朝鮮・日本・琉球の民俗事例が豊富に紹介されているのは有益だが、余りにも羅列的。分野が違うといわれればそれまでなのだが、相互の影響関係や変容における独自性などを追求することに主眼を置く歴史学を専攻する身としては、少し耐えられないものだがあった。言語をマスターして祭礼の調査を重ねながら似たようなものを見つけるのは非常に楽しそうなのだが、その先はどうしたという感覚をどうしてももってしまう。しょうもない無人島をめぐって争う現今の政局よりは遙かに建設的なのは確かなのだろうが・・・。尚祭祀(まつりごとをとうとぶ)・仏道婆さん(ブルト ハルマン)・我家の田(うちのた)・一老姥(とあるばあさん)・甚不祥(じつによくない)など史料引用に意味・他言語などを振り仮名(ここでは括弧内に表記)でつけるのは新しい試みかhttp://www.bookclub.kodansha.co.jp/bc2_bc/search_view.jsp?b=2585332。懸案の原稿は何とか提出したが、来週の講義および報告準備、さらには9月の別の講演会もほったらかしにしたままで、今週はそれを片付けなければならない。