wsfpq577’s blog

日本中世史専攻、大学非常勤講師などで生活の糧を得ていますが(求職中)、ここでの発言は諸機関とは全く無関係です

岩﨑周一『ハプスブルク帝国』

本日は六甲台国際文化、三回目になるが複雑な縄張り構造で毎回道に迷ってしまう。時間的余裕は全くないのだが、とりあえず電車読書の備忘。最初に書店で見かけたときは敬遠したものの、評判は良さそうで、秋の講義が始まるということもあって第三刷を衝動買いしたものhttp://bookclub.kodansha.co.jp/product?isbn=9784062884426。10世紀のハプスブルク家の発祥から(もともとスイスらしい)、第一大戦後の滅亡後の王家の政治的動きとその歴史的評価の変遷までを、新書版400頁強でまとめたもの。30年戦争の評価、絶対王政という用語など、講義プリントの一部は同書によって修正することになり、直接的な恩恵を受けることに。ただ著者の専門が近世史ということで近代の扱い(日常的には複数のアイデンティティを持っているのが一般的、経済的には成長)については、ナショナリズムが刺激されるのは非日常にも関わらず、安易に大戦にのめり込んだ王権をどれだけ評価できるのか、戦時体制はスムーズだったと単純にいえるかについては逡巡を覚えるところがある。そのあたりが素人の伸るか反るか講義のつらいところ。週末は徳島だが、またまた台風の予報。二度あることは三度あるになってしまうのか。足止めとなるとダメージは余りにも大きい…。