wsfpq577’s blog

日本中世史専攻、大学非常勤講師などで生活の糧を得ていますが(求職中)、ここでの発言は諸機関とは全く無関係です

相国寺旧境内・上京遺跡

本日は表題の現地説明会のために京都へ出かける。部屋を出てからクリーニング屋に出す予定のワイシャツを忘れているのに気づいて取りに戻るなどバタバタしたが、その間に雨が止むというけがの功名。まず阪急大宮駅で降りてバスで堀川通りを上り、一畳戻り橋・晴明神社の写真を撮る。この付近にはかつて友人が住んでおり、何度も飲み明かしては泊めてもらったが新しいマンションが建ちかなり光景が変わっている。次いで京都市考古資料館で開かれている特別展「古代の祭祀ー出土品が語る平安への願いー」を見学しhttp://www.kyoto-arc.or.jp/、副館長さんにご挨拶する。多数の人面墨書土器が並んでいるのは圧巻だが、ご説明によると平安半ばになると祭祀遺物の種類も変化するということで、このあたりもまだまだ検討が必要なようだ。館は無料で常設展示も遺物はすごいのだが、説明パネルのはいつから更新されていないのかというものだったのは残念。その後は少し時間があったので、白峰神社・報恩寺・宝鏡寺持明院殿跡などを周り現説会場へ。周囲は少しぬかるんでいたが、現場はしっかり保護されており数百人の見学者でごったがえしていた。鉄筋コンクリートの建物があったため攪乱も大きく、明確な建物跡は検出されなかったようだが、15世紀につくられた道路(以前の調査地と直線で結ぶことが出来る礫敷きの立派なものだが側溝は検出されず)、16世紀の堀・溝が多数と立派な石組みの地下蔵などが検出されており、見応えがあった。しかも何本もある堀・溝と評価されているものは何れも方位が同じで並行して掘られており、かなり計画性が高かったことがうかがわれる。また遺物については室町期より鎌倉期のほうが高級品が出土しているとのことで、南北朝期の遺物がほとんどないということとあわせていろいろ興味深い課題があるところ。その後はたまたま出会った1959年・1971年・1978年生まれの室町期の研究者の方々に院生・学生3人を交えての「情報交換会」。ここでもいろいろと新しい情報を得させてもらい、充実した土曜日となった。写真は戦国期の堀と評価されているもので、もっとも大きいもの。
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