wsfpq577’s blog

日本中世史専攻、大学非常勤講師などで生活の糧を得ていますが(求職中)、ここでの発言は諸機関とは全く無関係です

京都文化博物館展示4題

本日は久しぶりに京都へ。メインは10月の報告に向けての古文書閲覧で、予想以上のドンピシャ案件。データ頒布が九月半ばになるのは痛いが、何とか形にはなりそう。できれば現地にも行きたいのだが、何しろ足がない…。そのついでに表題の博物館に立ち寄り、いくつかの展示を観覧したため、その備忘を記すhttp://www.bunpaku.or.jp/。①「平安博物館回顧展ー古代学協会と角田文衞の仕事ー」(9/9まで)。本年30周年となる当館の前身の一つが平安博物館で、かつての展示内容と設立運営の中心にあった故角田文衞氏の遺品などがならぶ。平安博物館は始原時代・平安遷都前の山背・平安の都・平安文学と生活・紫式部の5室で構成され、当時の説明板の文面もあり、考え方をしのぶことができる。全く不勉強だったが、旧石器時代大分県の遺跡から出土した遺物など京都以外の調査成果も残されているらしく、活用という点で気になるところ。また三条西実隆筆の「魚魯愚鈔」に紙背文書があるのも初めて知った。図録も刊行されており、歴史的記録として貴重。②「祇園祭ー油天神山の名宝ー」(10/22まで)。カザフスタン・中国・西洋などの懸装品が並び、何れも近世に輸入されたものらしく、どういう人々の思惑があったのか興味引かれるところ。③「京・後藤家の軌跡」(9/9まで)。分家の後藤勘兵衛家の伝来資料が京都府に寄贈されたため開かれたものらしいが、足利義政に仕えたという始祖後藤祐乗にはじまる系譜、加藤清正に虎皮一枚を送った(送られたではない)返礼、近世前田家当主からの直状など興味深い文書がならぶ。なかでもツボだったのが「伊庭山之松茸」贈答。④「信長上洛ー京都・織田信長入京から450年ー」(9/2まで)。基本的にビックネームの並ぶ古文書展示だが、宇津宛のタテ8㎝で細長い織田信長奉行衆連署状など、形状がわかる点で有益。500円でこれだけ豊富な内容で、無料のカラー版解説パンフも頒布されており、お得感満載。