wsfpq577’s blog

日本中世史専攻、大学非常勤講師などで生活の糧を得ていますが(求職中)、ここでの発言は諸機関とは全く無関係です

大阪歴史博物館「都市大坂の起源をさぐる」

昨日は研究会が重なっていたのだがパスして、「マドンナ」の誘いに乗って高校陸上部の同窓会(飲み会)に出席。一昨年にお目にかかれなかった最初の顧問の先生や何人からの先輩・後輩もいらしていて、それぞれの多様な人生に驚くとともに、昔の記憶を呼び戻す。夜までに時間があったので、府立図書館まで足を伸ばし非常勤先が購入しなくなってしまった最新の大日本史料などを確認し(新出の古記録に某辞書執筆に向けて興味深い記事を見つけた)、次いで寄ったのが表題の展覧会http://www.mus-his.city.osaka.jp/news/2016/toshioosaka.html。行きの地下鉄で予想していたとおり館内は外国人観光客だらけ。大阪城天守閣とのセット券が流通しているらしく、常設展の博物館入場者数としては相当な数に上っているのではないか(表題は特別企画展と銘打っているが、全く別個に運営される大型展とは異なり、常設展料金に含まれる)。エレベーターで10Fまで上ったが常設展は省略し、まず8Fの特集展示「蔵出し名品展2016」へ。古備前以来の陶磁器コレクション・平安末の経筒・瓦経も興味深かったが、足利直冬書下・長慶天皇綸旨といった中世文書が出ていたのが幸運。特に後者二点は廃寺となった大雄寺長老宛で伝来も含めて気になるところ。続いて6Fで開かれている表題の展示へ。一昨年度の総括シンポに当方も少しだけかんだ上町科研に関わる5・6世紀代の上町台地と河内湖周辺の出土遺物の紹介。河内湖周辺での渡来系馬飼については理解していたが、内陸部で製塩土器が出土して製塩の痕跡すらあるのは初めて知った。途中まで海岸部で行い最終工程だけこなすのか、そのことの意味も含めてよくわからなかった。その他にも鋳造・玉造など当時の技術を知ることができる珍しい遺物が展示されており、なかなか興味深く秋学期の地域史の講義にも少し使えそうだ。なお何れもカラー版パンフレットが無料で頒布されており、常設展で疲れたためもあってか観覧者もほとんどおらずじっくり閲覧できおすすめ。火曜日概説168名の採点は終えたが、月曜日地域史は最終判定まで到達していない。すでに8月も半ば近くになっておりなかなか切羽詰まった状態。