wsfpq577’s blog

日本中世史専攻、大学非常勤講師などで生活の糧を得ていますが(求職中)、ここでの発言は諸機関とは全く無関係です

樺山紘一編著『新・現代歴史学の名著』

本日は9時半に耳鼻咽喉科に受付に行き、87分待ちといわれたため、自宅で朝昼食を済ませ、11時半前にようやく診察を受け、午後からの仕事に間に合った。表題書はゴールデンウィーク前から鞄に入っていたが、一時中断しており、残りは待合室で読了した。取り上げられているのは18本で、全く聞き覚えのなかったのはブリッグス『イングランド社会史』とクールズ『フェロスの報告』で、後者は今日では実証的には全く否定されているが、ジェンダー歴史学の先駆的業績だということだ。残り16本のうちでもちゃんと読んでいたのは網野善彦の著作のみなので、13本の外書について訳者が執筆した研究史上の位置づけ・著者の評価を知ることができたのは有益。なかでもル・ゴフがフランスの大学博士号を取得していないことや、フランスにおける歴史研究と司法・政治の関係についての議論は興味深かった。日本人著者は網野以外に梅棹忠夫・速水融で、文学部歴史学の研究者は全く取り上げられていない。諸事情はあろうが、やはり残念に思う。http://www.chuko.co.jp/shinsho/2010/03/102050.html 修正『フェロスの報告』は『フェロスの王国』の誤り。