wsfpq577’s blog

日本中世史専攻、大学非常勤講師などで生活の糧を得ていますが(求職中)、ここでの発言は諸機関とは全く無関係です

岩崎育夫『アジア近現代史』

本日はルーティン姫路、懸案になっていた事態が少し前進、うまく転がってくれれば面白くなりそうなのだが…。通勤は相変わらずヘロヘロだが、ようやく表題書を読了www.chuko.co.jp/shinsho/2019/04/102538.html。これまた秋の講義準備のため衝動買いしていたもの。中東(イスラーム)を除き、南アジア・東南アジア・東アジアに分類し、それぞれ独自の宗教をもつ土着国家と定義し、以後の歴史過程を内部勢力(自律)と外部勢力(他律)の相克として、モンゴル帝国の支配、近代ヨーロッパによる植民地国家の成立、近代日本の軍事進出、第二次大戦後の独立とアメリカの軍事関与、開発独裁以後のアメリカとの経済関係による工業化、という時代区分によって描いたもの。視点はオーソドックスだが(モンゴル帝国と近代日本をインパクトの一方で、後に何も残さなかったものとならべるのは斬新)、全体はバランスよく現代の諸問題の起源についても整理されており、初学者にも推奨できるもの。なお中東を外したのは、古代以来の西方との関係を主軸とみたためだろうが、見通しはよくなったという印象は受ける。激動の五月も終わり、時は流れるのは早い…。