wsfpq577’s blog

日本中世史専攻、大学非常勤講師・研究員などとして生活の糧を得ていますが、ここでの発言は諸機関とは全く無関係です

武井弘一『茶と琉球人』

明日から出かけるため、昨日の読みさしの電車読書を片付けておく。タイトルに興味を惹かれたこともあって和歌山の書店で衝動買いしてしまったものhttps://www.iwanami.co.jp/book/b341732.html。近世琉球が農業中心の持続可能な生態系を有していたこと、茶が庶民層まで普及していたが、その生産が著者の出身地である肥後球磨郡で、人吉藩での専売制が一揆の要因ともなり、1944年には偶然にも沖縄からの疎開先の一つでもあったことなどが紹介されている。その骨格は興味深いのだが、「読者の思い込み」を変えたいという意識が強いためか、明による冊封を中国の支配と書いたり、中世琉球時代の先島征服を薩摩の琉球征討と重ね合わせたり(その割に近世の上布上納の記述はあっさり)、史料用語に「琉球王国」はないことをことさら強調したり、清との朝貢のみかけ上での赤字を強調したりして、逆ハリが過ぎる印象も受け、近頃のデマを棹さすものにならないかいささか危惧するところ。それにしてもコンピューターの調子が悪すぎ。