wsfpq577’s blog

日本中世史専攻、大学非常勤講師などで生活の糧を得ていますが(求職中)、ここでの発言は諸機関とは全く無関係です

兵庫県立歴史博物館「ひょうごの美ほとけー五国を照らす仏像ー」

本日はルーティン姫路。花粉症と相まってヘロヘロの中でDB作成ほか。昼休みを利用して表題の展覧会を観覧https://www.hyogo-c.ed.jp/~rekihaku-bo/official/ex-2017-sp1.html。昨年度から隣席でお世話になっている方が定年退職年度にあたり、その集大成的な企画。おかげで準備の様子を少しばかり見させていただいてきたが、まず驚いたのが白鳳仏が4躯も並んでいること。解説によると何れも当初の状況のまま伝来されたものではないらしく、興味深いところ。その後も奈良・平安と続き、圓教寺性空上人坐像は入滅直後の作成された等身像で、残存例としては円珍像などに次ぐ古いものだということ。その他に33年に一度開帳される秘仏や、12世紀に但馬・丹後などで特徴的にみられる様式なども注目される。続く鎌倉期についても広く知られていない快慶の作例(どうも開催期間は偶然重なったらしい)など企画者自身が携わった調査の結果発見された優品が並び、三十三間堂から室町期に移された千手観音像という何らかの政治的背景を推測させるものもある。また「建仁寺法金剛覚心」が渡宋して明州で作らせたことが銘文からわかる菩薩像があり、最初は無本覚心かと思ったがそれより古く、ちょうど円爾が入宋している時期のことらしく、これまた興味深い。その後も神像・室町期・江戸期と各時代の作例がならび、戦国期の仏師宛の口宣案、周防で伐採されたことが年輪年代法から確認された浄土寺の部材なども重要。長年にわたる学芸員としての調査・研究の蓄積が反映されたもので、図録もしっかりしており、なかなかのおすすめ。例によって何枚かは招待券を持ち歩いていますので、出会う機会がありましたらお声がけ下さい。