wsfpq577’s blog

日本中世史専攻、大学非常勤講師などで生活の糧を得ていますが(求職中)、ここでの発言は諸機関とは全く無関係です

中村直人『歴史のなかの上ヶ原』

本日は地域史と史料講読。前者は以前別のところでおこなった大阪史を微修正したもので、当初話をいただいた時は吹田史も考えたのだが、時間的余裕がなく断念。結局これは今年度春・秋限りで終わることになった。一方で電車読書は西宮市上ヶ原史というピンポイントもので、関西学院大学学部生から当地に13年在住し、現在も教鞭をとっておられる著者ならでは。全体は六章からなり、大学構内および周辺の古墳群、豊臣期の水論として著名な鳴尾村の義民、大坂城石垣が採掘された甲山公園の刻印石、上ヶ原台地の近世新田開発、関学敷地内にあった西宮海軍航空隊をはじめとする戦争の痕跡、著者が学部四回生で経験した阪神・淡路大震災が取り上げられている。全体に非常に丁寧な仕事で、現場が感じられるものになっており、地域史の一つの形を示しているもの。当方も学会などで何度も関学に出向いているが、大学構内の史跡については全く知らなかったhttp://www.kgup.jp/book/b245437.html。土曜日のシンポは何とか終えることができた。当方の話は参加者のほとんどを占める一般来訪者にはほとんど理解されない不親切なものだったが、幾人かの専門研究者に少しは評価していただいたのでとりあえずは一安心。あとは年明けまでにもう一本の論文締切…。