本日はルーティン姫路。腹痛のため朝の電車でよく寝られなかったが、何とか堪え忍び無事一日を終えることができた。電車読書のほうは講義のための衝動買い本で、著者は英語とロシア語史料を活用できる満蒙問題の専門家らしいhttp://www.chuko.co.jp/shinsho/2016/09/102393.html。ロシア革命後のチェコスロヴァキア軍救援に端を口実とした日本軍のシベリア出兵について、その前史から撤兵後の歴史としての教訓にされなかった点までの全体像を描いた通史。山県有朋を筆頭とする元老、寺内正毅・田中義一・上原勇作など陸軍関係者、加藤友三郎など海軍軍人、原敬・加藤高明など政党人、後藤新平など満洲人脈、堤清六など北洋漁業関係者(清二とは関係ないらしい)、ボルシェヴィキ・極東共和国関係者、反革命軍人など多数のプレーヤーが登場し、細切れ読書では充分に整理しきれなかったが、チェコスロヴァキア軍とは何かという基礎的な事実から全く理解できていなかったので、いろいろ勉強になった。そのなかでも興味深かったのが、関係者が一致したちゃんとした終戦方針もないのに出兵して、他国が撤退したにもかかわらず目的が転々としながらづるづると駐留を続けた点で、全く後の日中戦争の前哨戦だったこと。しかも彼らの行動原理が個人のメンツと人間関係に強く規定されており、ちゃんとした意味での「国益」など何も考えられていなかったことがよくわかる。煽るだけのマスコミ報道も含めて、ウダウダ感は日清戦争からずっと踏襲されていたのだろう。すでに強行採決すらニュースにならない今ほど「コントロール」されていないだけマシかもしれないが…。