wsfpq577’s blog

日本中世史専攻、大学非常勤講師などで生活の糧を得ていますが(求職中)、ここでの発言は諸機関とは全く無関係です

辻田真佐憲『日本の軍歌』

本日講義のカードチェックも終わらず、レジュメを完成していないのだが、電車読書の備忘。たまたま知ったネットででみた本書の連動企画http://www.gentosha.jp/articles/-/2368で紹介されていた対米英開戦直前作という「爆弾位は手で受けよ」という余りにも明るい音頭を聞き衝動買いしてしまったもの。日本の軍歌が欧米から導入され留学経験を有する超エリートによって製作されたこと。日清戦争とともに軍歌が大量に普及していったこと。日本で製作された軍歌メロディーの替え歌が間島独立軍(のちの北朝鮮でも)・辛亥革命などに広がったこと、満州事変以降はレコード会社・新聞社主催で大量の軍歌が製作・普及し全盛期を迎えたこと、戦後陸上自衛隊が陸軍の軍歌を継承している一方で、自衛隊内部のみでしか流通しない点で使用法からみるとある種の断絶があること、21世紀の軍歌があるとしたらアイドルが歌うものになることなど、エンタメと政治という観点から軍歌を概説している。著者は1984年生まれで、慶応大文学研究科修士を中退して独立研究者として活動しているらしい。昨今のメディア史などアカデミズムについてもそれなりにおさえており、安倍後援会放送局のワールドカップテーマ曲が流れた2014年にふさわしい問題意識をもった書物といえるhttp://www.gentosha.co.jp/book/b7983.html