wsfpq577’s blog

日本中世史専攻、大学非常勤講師などで生活の糧を得ていますが(求職中)、ここでの発言は諸機関とは全く無関係です

山口昌男『アフリカ史』

引き続き電車読書の備忘。1977年刊行書の文庫化だが何となく衝動買いしてしまい、講義のアフリカ分割前にはと思い読了したもの。もっとも著者の専門は文化人類学近現代史の一部は別の著者の手を借りており、研究水準も当時の状況に規定。むしろそれ以前の王権の性格、伝承の分析などが真骨頂で、そこから文化史的観点を通奏低音に通史にもっていくところが良くも悪くも空前絶後の感。やたら統一を志向したものは信長、裏切り者は光秀に例えているのもご愛敬か。著者の研究は少しは読んだことがあり、東大日本史出身というのも知っていたが、わりと抽象化した議論のイメージがあって、ナイジェリアで3年間教えていた、その他に各地で数ヶ月の滞在経験があるというのは全く知らなかった。基礎研究においてもパイオニアだったことを再認識。

『アフリカ史』(山口 昌男,今福 龍太):講談社学術文庫|講談社BOOK倶楽部