wsfpq577’s blog

日本中世史専攻、大学非常勤講師などで生活の糧を得ていますが(求職中)、ここでの発言は諸機関とは全く無関係です

福永文夫『日本占領史』

先週後半はやっておかなければならない仕事があったにも関わらず、すっかり惚けてしまった。微々たるものだがこの備忘もその一つ。講義で戦後史を扱っていることもあり、順番を前後して読了したものhttp://www.chuko.co.jp/shinsho/2014/12/102296.html。副題に東京・ワシントン・沖縄とあり、アメリカ本国と東京GHQ(特にマッカーサー)の意向の齟齬を強調している点、当初は明確な方針がなく放置されていた沖縄に米軍基地化するまでの諸段階に触れられている点が、従来の通史叙述と比べて特徴的か。ただ昭和天皇については「沖縄メッセージ」しか触れられず、片山内閣での「内奏問題」、豊下楢彦氏による安保条約成立時の役割などは無視されている。著者は法学部出身で占領下中道政権・大平正芳に関する著書があるということだが、昭電疑獄などについても踏み込んだ検討はされてはいなかった。また戦後国際政治についてもアメリカの政策転換以外のファクターは、初期の昭和天皇訴追問題と憲法制定過程について触れられているだけ。全体としてはオーソドックスな通史というところか。なお購入時には気づかなかったが、著者とはあるところで接点があった。下の写真は本書とは無関係で、本日の内国勧業博覧会に関する講義で取り上げた公苑に立地する動物園の最寄り駅の広告。他は「とら」・「らいおん」などにもかかわらず、これだけ「たいぞう」、アジア象とアフリカ象の区別はわかるのだが、その下位に分類として存在しているのだろうか。ひょっとしたら某市長が目指すという「近現代史施設」と同じパラレル・ワールドのものかもしれない。
イメージ 1