wsfpq577’s blog

日本中世史専攻、大学非常勤講師などで生活の糧を得ていますが(求職中)、ここでの発言は諸機関とは全く無関係です

江後迪子『砂糖の日本史』

本日は締切原稿の関係で必要な国会図書館にも未収の科研報告書所収論文を、木~日までのみ開館の施設に出向きコピー。一点重要な指摘があり、研究史には並べる必要がある。そういうわけで現在進行中の講義にも関係する某フェアで注文していた表題書を読了。勘合符を得たのは足利四代将軍義持の時代(26頁)・慶長三年が秀吉がこれから安定期に入ろうという時(128・129頁)など歴史的背景の説明はメチャクチャで、ひどい誤植も目立ち一般書としては決しておすすめできないが、戦国期にそれなりに砂糖が出回っていたことが示されている点は重要。著者は近世まで含めて中国産と評価しているのだが、国内需要も旺盛だったはずの中国で輸出できるほどの生産があったのだろうか。カリブ海の近代奴隷制と比して、こちらについては従来の研究でもちゃんと説明がなかったような気がするのは当方だけか。

砂糖の日本史 - 株式会社 同成社 考古学・歴史・特別支援教育図書の出版社