昨日は徳島で研究会、本日は姫路で古代史研究会の裏方。そういうわけで衝動買いしてしまっていた表題書を読了。最初に研究史に触れて後期日中戦争への関心が低いと指摘。ただ余りにも古すぎる印象を受けながら読み進めると、91頁に文献として、『日中戦争全史』が取り上げられるも、巻末に相当する書籍がなし(書店のHPにも特に訂正なし)。思い浮かぶのは笠原十九司氏の上下巻だが、それに先行する『日本軍の治安戦』も含めて全く無視。アジア・太平洋戦争の代表的論者である吉田裕氏の通史でも中国戦線はそれなりに扱われており、いかがなものか。また日本軍の使用した毒ガスについて、わざわざ政府答弁を引用してその致死性について深入りを避けているが(127頁)、歴史研究者の態度としてはやはり疑問。本書のテーマは触れられていない三光作戦・敗戦後の撫順を含め政治に持ち込まれやすく、それを避けたいという気持ちはわからないではない。ただそれなら最初に紹介している従軍経験者のインタビューをもとに構成して、大上段な議論ははなから避けるべきではなかったのか。
後期日中戦争 太平洋戦争下の中国戦線 広中 一成:一般書 | KADOKAWA 千里山は21日から対面再開とのこと。枚方もやや遅れてそうなるようで、ひきこもり生活も大きく変わる見通し。