wsfpq577’s blog

日本中世史専攻、大学非常勤講師などで生活の糧を得ていますが(求職中)、ここでの発言は諸機関とは全く無関係です

戦国史研究会編『戦国時代の大名と国衆』

本日は枚方3コマ、相変わらずバタバタしながら何とか終える。そんな中で昨日片道二時間の自治体史会議(帰りは30分を除き同行者あり)があったことと合わせて目を通したのが表題書https://www.ebisukosyo.co.jp/item/515/。第一部で研究史総括二本、第二部は南奥・東関東・信濃・今川領国・上杉氏・畿内近国・中国地域・土佐・南九州のケーススタディで、シンポジウム「戦国期における大名と「国衆」」を終えて(ママ)と題する総括からなる。第一部と総括と第二部の畿内近国・中国地域・土佐は地域的関心もあり完読、他の個別研究ははじめにとむすびと史料のみの部分読了。研究の熱気は感じる一方で、結局は史料用語そのままの「国衆を、戦国大名に家臣化しない自立的領主の意味の研究概念として用いることが一般化しつつあるようだ。当方が「戦国領主」提唱者のお世話になっているという事情はあるにせよ、一般的なその国の領主たちという意味に過ぎない「国衆」はやはり違和感。とりわけ根来寺のような宗教勢力や国一揆などの自立性とも対比でき、なんとか英訳可能な後者のほうがふさわしいようには思う。まあガラパゴス化しても営業的には成り立っている戦国期らしい態度といえば態度。