wsfpq577’s blog

日本中世史専攻、大学非常勤講師などで生活の糧を得ていますが(求職中)、ここでの発言は諸機関とは全く無関係です

龍谷ミュージアム「真宗と聖徳太子」

本格的に講義もはじまりいろいろバタバタしているのだが、後述する所用もあり、前売りをネットで購入していたので、昨日阪急大宮駅から徒歩で向かう。親鸞誕生850周年にかこつけた展覧会。客はそこそこ入っていたが、単眼鏡で絵画資料を熟覧する余裕はあった。大和吉野郡本善寺蔵の明応・永正などの年紀をもつ肖像・絵伝は興味深く、真宗と吉野材木流通との関係を探る手がかりとなる。絵画資料としてもっとも興味深かったのが15世紀作とされる広島・光照寺蔵「聖徳太子絵伝」で(展示は前期のみ)、鶏らしき鳥かごなど動物描写が独特で、風呂で幼児をつれた女性(頭髪のまとめ方・下半身がふんどしではなく布でくるまれる、上半身は裸だが後ろ姿で乳房の明確な描写はなし)が年寄の背中を垢すりしている場面は、大変興味深い。同一場面は愛知・本證寺本では色黒の三助らしき男性が担当。その他の絵伝でも四天王寺西門周辺の光景などいろいろ堪能できたのだが、図録が余りにも小さいのが残念。せめてA3に1面としてほしいところ。

春季特別展「真宗と聖徳太子」|龍谷ミュージアム