wsfpq577’s blog

日本中世史専攻、大学非常勤講師・研究員などとして生活の糧を得ていますが、ここでの発言は諸機関とは全く無関係です

高橋昌一郎『フォン・ノイマンの哲学』

本日は週一での姫路出勤日。朝の人出はいつも通りで、JRも辛うじて神戸で座れたぐらい。リモート続きで相変わらず爆睡時間も長いがようやく電車読書を消費。1903年ブタペスト生まれのユダヤ人で、6歳で超人的な記憶力・計算力を発揮し、17歳で数学論文を発表、23歳でベルリン大学私講師(非テニュア)となり「ゲーム理論」を提唱、1933年アメリカのプリンストン高等研究所終身教授となりアメリカ市民権を取得(ちょうどドイツではヒトラーが政権奪取)、40年には陸軍兵器局弾道学研究所諮問委員となりコンピューター開発(イギリスでは別の科学者がナチスの暗号解析のために独自に進めていたが、こちらは国家機密として1970年代まで秘匿されていたという)、ロスアラモス国立研究所顧問として原爆開発を主導、標的委員会に科学者代表として参加して京都への投下を主張、第二次大戦後もソ連への「予防戦争」を主張し、水爆開発もサポートする一方で、気象予測をプログラム化、何度も原爆実験に立ち会って1957年に陸軍省病院で国防長官以下に見守られてガンで死亡(うわごとで軍事機密をしゃべられてはというのもあったらしい)したという「軍人を志した天才科学者」、「我々が今生きている世界に責任を持つ必要はない」と言い放ち「人間のフリをした悪魔」とも呼ばれた一生を描いたもの。ドイツで毒ガス開発を主導したフリッツ・ハーバーとも接点があった可能性も指摘されており、理系的合理主義の極地としてすさまじい。政治的影響力もかなりあったようで、著者の楽天的なイフは別にして長生きしていたら戦後世界も変化していたかもしれない。

『フォン・ノイマンの哲学 人間のフリをした悪魔』(高橋 昌一郎):講談社現代新書|講談社BOOK倶楽部