wsfpq577’s blog

日本中世史専攻、大学非常勤講師・研究員などとして生活の糧を得ていますが、ここでの発言は諸機関とは全く無関係です

小島庸平『サラ金の歴史』

本日はルーティン姫路、緊急事態宣言・GWの狭間だったが電車はほぼ変わらず、夕方の姫路駅周辺もそこそこの若者が活動。大学がリモート続きのため久しぶりの電車読書の備忘。タイトルでの衝動買いから積ん読が長くその間に評判を見かけたが、予想以上に面白い。戦前の「素人高利貸し」からはじまり、戦後の団地妻相手の金融、大手企業の「前向き」の資金需要からはじまった大手の創業時代、70年代以降の幅広い層への拡大、妻の蒸発と夫の13ヶ月目の自殺という借り手の意識、女性による明るい融資と男性により取り立て、殺人犯役になぞらえた「演技」指導と押領などの不正を防ぐためのカリスマ統治、バブルに乗らなかったサラ金と乗った銀行、金融庁自民党の動きと改正貸金業法の制定と、通俗道徳と同調圧力の中で消費主体となった戦後家族と企業社会の展開と、それに機動的に対応し貸し手リスクの少ない金融技術を編み出したサラ金の業態展開を通じて、戦後日本経済史が見事に叙述されている好著。あとがきで触れられる著者がこの問題にとりくむ直接のきっかけとなった北海道で接待を受けたプロミス営業マンが安田講堂経験者だったというのも、すき家などをも想起させ80・90年代社会の成り立ちを考えさせられる。また大手企業のほとんどが関西発祥なことも興味深く、法改正後にヤミ金からオレオレ詐欺に流れたとされるが、反対した橋下徹の名前があげられ吉村大阪府知事の来歴を考えても維新がどこから生まれたのかもよくわかる。

サラ金の歴史|新書|中央公論新社

そういうわけで惨状は広がるばかり。こちらは無事ですが昨日から口内炎がひどい、少し減ったとはいえ寝酒によるものか・・・。