wsfpq577’s blog

日本中世史専攻、大学非常勤講師・研究員などとして生活の糧を得ていますが、ここでの発言は諸機関とは全く無関係です

鶴見太郎『イスラエルの起源』

本日はルーティン姫路、最近は山城と禅宗を同時並行というカオスに・・・。講義はすでに対面で、特に火曜日がバス待ち合わせて往復二時間以上という事情もあって、衝動買いしていた表題書を読了。専攻は歴史学というより、社会学エスニシティナショナリズム論らしく、その立場からロシア帝国下のユダヤ人という二重の帰属意識の関係性を「内なる国際関係」としてその性格をパターン化。ロシア革命期に原則としてポグロムを否定するも商業ネットワークを破壊するとしてボルショビキに対抗する白軍として行動するも、戦争に敗れさらに凄惨なポグロムを経験したことで、パレスチナで自分たちを守ってくれなかったロシアに投影させてイギリスの姿勢をアラブ人に味方するものとみなし、好戦的なイスラエル建国につながっていくという構造を示したもの。歴史畑としては、ボルショビキ支配下に留まったユダヤ人の意識(トロツキーのようなユダヤアイデンティティーを離れたわけではない、ソ連解体後にはじめてイスラエルに移住した人々)、イギリスに「ナショナルーホーム」を認めさせた英語圏ユダヤ人との関係性、ハルビンユダヤ人などその後もロシア語による文筆活動を続けた人々の行方、などいろいろ気になるところはあるが、非常に重たい話で、これからの講義に向けてもいろいろ考えなければならないところ。とはいえ、途中申告での遠隔受講者は増えるばかり、当初の方針をくつがえして対面に移行した大学当局もいつ裏切るか分からない状況に。そもそもこの間の大学は単位認定機関に特化していることをそれを主導する政府も当局も理解していない惨状・・・。

『イスラエルの起源 ロシア・ユダヤ人が作った国』(鶴見 太郎):講談社選書メチエ|講談社BOOK倶楽部