wsfpq577’s blog

日本中世史専攻、大学非常勤講師などで生活の糧を得ていますが(求職中)、ここでの発言は諸機関とは全く無関係です

「ある人質 生還までの398日」

コロナで実害を被ることになったのが、回数券の処理。昨春は完全ロックダウン・秋は対面から遠隔への切替で余らせてしまい、手数料を取られ払い戻し。今年に入ってからはチケット屋購入分が不要になり、その処理のために出かけて水曜1200円で表題作を観覧。デンマーク人のカメラマン志望の若者が(無謀で無知と表現)、シリアで武装勢力に捕らえられ(あらすじではISとされるが、最初は別組織のように見えた)、法外な身代金をもともとそれほど仲がよかったわけではない家族がかき集め、解放されるまでの実話に基づく物語。展開はある種読めてしまうのだが、映画的迫力に満ち満ちた作品。デンマーク語・アラビア語・英語・フランス語が飛び交い、とりわけエンドロールによるとヨルダンで撮影されたらしい現場の生々しさは、ドキュメンタリーを観ているかのよう。わざわざ砂漠に重機で穴を掘って人質の一人を殺害して家族へのビデオレター撮影をはじめ、実際にISが協力しているかのリアルさ(公式HPには武装勢力側の俳優は登場しない)、また人質交渉人の得た情報で突入を試み失敗、立ち会いながら一切金を出さないデンマーク政府側の人物など、ここまで描いていいのかという場面が多数。たまたまだったがよい作品に巡り会えた。

映画『ある人質 生還までの398日』公式サイト