wsfpq577’s blog

日本中世史専攻、大学非常勤講師・研究員などとして生活の糧を得ていますが、ここでの発言は諸機関とは全く無関係です

徳丸吉彦『ものがたり日本音楽史』

引き続き、電車読書の紹介。引きこもりと車中爆睡のため積ん読が消化できておらず、本書も昨年12月刊行で、すでにそのときの気分すら忘れてしまった衝動買い本。音楽を生きたものとして考えるとして、古代・中世・近世・近代・現代という時代区分を設けて、雅楽については全ての時代、琵琶についても中世以降というように、過去の音楽文化が後の時代に変化を受けながら継続している側面を強調。あとがきではわざわざ日本文化が応仁の乱以後のものであるという見方を否定。またアイヌ・沖縄音楽を取り上げ、近代について国家神道軍国主義侵略戦争といった社会的背景のなかで扱っており、1936年生まれという戦後の学問体系をつくっていった世代ならではの感覚が読み取れるもの。もっとも教条的なものではなく、戦時体制が歌詞とは裏腹に西欧音楽の旋律であったことが、戦後への連続性を持つことなど(今期の朝ドラのテーマ?)も捉えており、通史としてはしっかりしていると感じた。あえていえば門付け芸からポピュラー音楽の一ジャンルにまで展開した津軽三味線は現代編でとりあげてほしかったところ。

ものがたり日本音楽史 - 岩波書店