wsfpq577’s blog

日本中世史専攻、大学非常勤講師などで生活の糧を得ていますが(求職中)、ここでの発言は諸機関とは全く無関係です

奈良文化財研究所編『仁和寺史料』古文書編1

先週非常勤先の図書館で借りてきたもの。解題によると、仁和寺経蔵第一五〇函には多数の寺領文書が収納されており、かつての調査で379点がラビリングされ、そのうち平安時代から室町時代之二(文明期まで)に分類された216番までが翻刻されたもの(ただし同一文書の断簡があり2点は重複番号、ただし枝番があるため文書数はそれより多い)。その多くは未翻刻文書で、活字化されているものも翻刻の誤りが正されている。当方がかつて書いた論文を補うものだけでも、諸官連署紛失状、家地売券、丹波国所領、関所、替銭などが含まれ、著名な鹿子木荘事書の異本まであり、一級史料と呼ぶにふさわしい。解題によるとまだまだ中世文書が多数あるようで、やはり京都・奈良の寺院からは何が出てくるかわかならい。幸いにも今回の新出史料で当方の議論の根幹は崩れなかったが、今後の展開に堪えうるさらなる論理構築が必要だろうhttp://www.yoshikawa-k.co.jp/book/b109849.html。講義が始まっていきなりノドを壊してしまい、そこからカゼになったようで体調はグタグタ。昨日は秋の一大イベントの準備にかり出され京都まで出かけたが、またもや悪化してしまい頭が働かず、今日は明日・明後日の講義に向けてのスライド整理しかできなかった。ただし久しぶりにいいニュースを聞くことができ、これで堺移住計画が現実味を帯びてきた。