wsfpq577’s blog

日本中世史専攻、大学非常勤講師などで生活の糧を得ていますが(求職中)、ここでの発言は諸機関とは全く無関係です

『夜久野町史第四巻通史編』

昨日は年寄の様子見(またまたトラブル)で留守にしたため、不在通知が入っており本日到着。2006年1月に京都府福知山市に合併された、旧天田郡夜久野町の通史。全13章と付録からなる1200頁を越える大作で、当方は第3章中世前期の夜久野」(135~199頁)ということで、平安中期から南北朝期までを執筆。第二巻資料編(古代・中世・美術)は2006年12月に刊行されているが、そこに名を連ねた編集委員会の面々は全て抜けてしまい、総入れ替えにより当方が本文編執筆を依頼され委員に加わったのが2007年9月。丹波については大堰川交通の論文を書いたのみだったが、「内蔵寮領目録」で安東氏との関わりがあることを知って、引き受けたもの。ところが資料篇にはそれが掲載されておらず、収集もずさんで担当者として名前が挙がっている方が携わったのかすら疑問。しかも町域に直接関わる史料が4種類しかないという状況で、丹波全体を見通しながら町域の位置づけを試みざるを得なかった。ただしその副産物として発見したのが、南北朝期に自由奔放に動いた荻野朝忠で、鎌倉までは「内蔵寮領目録」・南北朝は朝忠を軸にして2010年3月には原稿を提出。ところが全体の原稿がそろうまで遅れに遅れ、2012年3月にはついに町史編纂室が閉室になったという便りを受け取った。提出時に原稿料をいただいたままお蔵入りになってしまったと思ったが、本年2月14日付で刊行の運びとなった。そういう事情で荻野朝忠論はすでに昨年3月に論文として発表してしまっているが、前半部分は初めて執筆した地域史としての通史ということになる。なお第4章室町時代の夜久野(201~371頁)は福島克彦氏の執筆で、室町・戦国の丹波通史ともいうべき力作。また編纂室の崎山正人氏には当方担当の地図作成でもお世話になり(安東氏関係地図など、川があればなおよかったのだが)、執筆分担をみても遅延した執筆者の分をかなり肩代わりしたことがわかり、本書刊行の立役者といえるが、付録で近畿北部の宝篋印塔をまとめておられこれも有益。なお抜刷を30部いただきましたが、引用した方をピックアップすると余り残部がなく、広くお渡しできません。なにとぞご容赦ください。