wsfpq577’s blog

日本中世史専攻、大学非常勤講師などで生活の糧を得ていますが(求職中)、ここでの発言は諸機関とは全く無関係です

堀内和明『河内金剛寺の中世的世界』

本日野暮用で出かけて読了した、日本史研究会で購入して電車読書に充てた最後の一冊(自宅で読んだ一冊は略、賞をもらったようだが意欲とは別に荒さが目立った・・・)。平安末の創建から戦国までの諸問題を取り上げた既発表5本(当方が事前に読んでいたのは1本のみ)と新稿3本からなるもの。書き下ろしの通史ではなくいくつかの論点でダブりも見られたが、地域社会における金剛寺の全体像がよくわかり大変勉強になった。また天野酒の歴史が明らかにされるとともに、寺院と酒についてもより広げた論述がされている点も興味深い(美物については誤解があるようだが)。註が史料名のみで刊本の文書番号が振られておらず検索に難点はあるが、金剛寺だけでなく畿内における一地方寺院の通史としても今後の基準となるだろう。なおあとがきによると著者は「歩行および発声に困難」があるということ。一度お目にかかったきりだが、今後とも研究活動が続けられるよう祈念したいhttp://www.izumipb.co.jp/izumi/modules/bmc/detail.php?book_id=42213&prev=released。ついに国会解散のようだ。周辺は維新の支持を受けた公明党候補が自民党総裁とともに写っているポスターが95%で、共産党が5%ぐらい。このままだと新政権が各方面で取り返しのつかない破滅的な道に踏み出すことは必至のようで、この国の歴史を研究することに意味があるのかという根本的な問が目前に迫っている。