wsfpq577’s blog

日本中世史専攻、大学非常勤講師などで生活の糧を得ていますが(求職中)、ここでの発言は諸機関とは全く無関係です

元木泰雄『平清盛と後白河院』

今日は講義終了後に久しぶりに今度の報告のための史料を再確認するため北山へ。以前写真帳でみた記憶があったのだが、勘違いだったようで非常勤先にもあった刊本に載っていた。ともかく確認できたので、別の写真帳を見ようと思ったが、予め準備をしていなかったこともあり、眠気に気力が続かず早々に切り上げて帰路に向かう。結局はわざわざ歩いて行く必要はなかった。それはともあれ電車読書のほうは以前に購入していたものを、ようやく読了する。金曜日に読み始めた時はこれはどうかという叙述があったが、その後は近年の著者の研究論文が未読だったこともあり大変勉強になった。とりわけ藤原成親平重盛について、細かな人的ネットワークを明らかにし、そのバランスオブパワーから政治史を組み立てる手法には、ただただ圧倒されるばかり。諸勢力が切り札なしに合従連衡状態にある院政期は、ここまで踏み込まないと解けない研究段階になったということなのだろう。またいわゆる鹿ヶ谷事件については旧説とも近年の川合康説とも違う見解が示されており、今後の議論が興味深いところ。その一方でここまで複雑化すると概説でさらっと触れるのは非常に困難になってしまったのも事実で、荘園制論をふまえて新たな組み立てを考えなければならないだろうhttp://www.kadokawa.co.jp/book/bk_detail.php?pcd=201106000402。結局自治体史の原稿は全く進まず何をやっていたのかという状況。4月には行ってここまでスランプなのは初めてで、とにかく研究報告の準備に切り替えるしかない。