wsfpq577’s blog

日本中世史専攻、大学非常勤講師などで生活の糧を得ていますが(求職中)、ここでの発言は諸機関とは全く無関係です

テレビドラマ二題

風邪気味ということもあり、珍しくテレビドラマを立て続きに視聴した。
①「平清盛」1回目で慣らされたこともあり少しは冷静に見ることができたが、それでも抵抗感は否めない。大八車などないし、あれだけの落とし穴をどうやって掘ったのかも疑問。また殺生禁断が宇治ぐらいならまだしも海まで貫徹していて、わざわざ捕縛されて都まで連行されるというのはどうみても無理があり、しかも漁民がなぜ成人になっても鱸丸などという幼名を名乗っているのか。今回の最大の問題点はわけのわからない剣舞を清盛に舞わせて終わった直後に、石清水臨時祭での清盛の舞人勤仕記録をあげ、ドラマの光景があたかも事実であるかのような説明がされた点で、視聴者に誤解させてしまうのではないか。なお今回の白河はある意味で怪演といえるが、泰平の世の妖怪ではなく転換期特有の独裁者として捉えないと、たんなるグロテスクなものにしか見えなくなってしまう。全体として制作者側がイメージを明確にもっていないため、演技者が時代観・人物像を共有できておらずそれぞれが勝手に演じているだけになってしまっているようだ
②「運命の人」1回目。原作は未読だが山崎豊子作だからおそらく事実に沿って展開されているはずで、主人公の新聞記者の家の内部がどうみても70年前後とはいえない点は問題だが、全体として演技者間にイメージが共有されている一体感がみてとれる。多数の登場人物の処理もしっかりなされており、場面展開もスムーズで、今後の展開も期待できそうだ。
なお来週は見られない予定で、書庫を別個に建ててドラマ評を書き続けることはしないことにする。