wsfpq577’s blog

日本中世史専攻、大学非常勤講師などで生活の糧を得ていますが(求職中)、ここでの発言は諸機関とは全く無関係です

「肯定と否定」

本日はルーティン姫路。大阪駅で待つのが余りにも寒かったため阪神100分コースに乗ったが、窓からすきま風がありやはり冷える。しかも帰路はJRが遅れ姫路で長時間待たされることに。お堀には帰路でも氷が張っていたとはいえ、寒さがこたえるのも年を取ったせいか…。レポートはまだ積んだままになっているのだが、当方の生活リズムに合う時間は本日が最後ということで、元町で下車して気になっていた表題の映画を鑑賞http://hitei-koutei.com/ホロコースト研究を専門とするアメリカ人ユダヤ系女性歴史学者が、修正主義にたつイギリス人男性歴史学者名誉毀損で訴えられた裁判の顛末を描いたもので、実話を元にしたものらしい。修正主義者側の主人公に対する否定的印象操作、法廷での矛盾を突かれたときの言い逃れ、人種差別主義者と非難されたときの「~人の友人がいる」発言、敗訴を勝訴といいくるめるTV・インタビューなど、修正主義者の実像をさらけ出した点は興味深く、有名俳優らしく演技も素晴らしい。ただし弁護する側の主人公・被害者への人格攻撃を避けるため法廷に立たせないという戦術が基調で描かれているため、主人公の歴史家としての振る舞いはやや疑問で、感情的ななアメリカ人女性を理性的ななイギリス人男性が救うという物語に見えかねないところがやや残念。何でもかんでも言論の自由で相対化できるものではなく、「真実の勝利」があることを明確にしたことで勇気づけられる作品ではあるが…。