wsfpq577’s blog

日本中世史専攻、大学非常勤講師などで生活の糧を得ていますが(求職中)、ここでの発言は諸機関とは全く無関係です

ジェフリー・フレーニー『小さな大世界史』

本日はルーティン姫路。朝方は雪が降っていたが積もるまでには至らなかった。試験答案も積んだままだが、とりあえず電車読書の紹介http://www.minervashobo.co.jp/book/b308673.html。火曜日講義のシラバス参考文献5冊を毎年1冊ずつずらしており(いちおう大学図書館は買ってくれるらしい)、書店で見かけ衝動買いして来年度向けに書き加えたもの。第Ⅰ部200万年前から1000年までが13章、第Ⅱ部1000年から1800年までが10章、第Ⅲ部1800年から今日までが8章からなる。訳者あとがき(監訳の南塚信吾氏によるもの)で触れられているように、著者がオーストラリア・メルボルン大学教授だったということで、露骨なヨーロッパ中心主義ではなく、逆に通常取り上げられることがほぼないオセアニア史・コロンブス以前のアメリカ史が含まれている点が特徴か。ただ中国史のダイナミズムをちゃんと理解しているようには思えず、アジア系移民に否定的な政治的発言をしている人物らしくイスラムフォビアの印象もうけるところ。ただ環境・疫病などもあわせグローバルな視点は貫かれており、アメリカ合衆国が複数の国家になった可能性が指摘されている点は興味深かった。なお訳は監訳者の法政大学大学院ゼミ受講者が分担したということだが、2011年修士終了の日本人名を持つ方の現職が「カナダ・アルバート州政府職員」というのは少し驚いた。そういう時代になっているのだろう。それに対してタンカー事故による海洋汚染すら報道されない現時点の日本はどう表現すればいいのだろうか…。