明日・明後日と遠出することしたため、読みさしの表題書を片付け。上に引き続き、1960年代半ばから90年代前半までと総括(当方の講義は米中接近から)。転換点として強調されるのは70年代からの経済のグローバル化で、それにより第三世界の分裂、ソ連型経済システムのモデルとしての消滅で、イデオロギーの優劣をめぐる対立は1985年までには決着がついたと評価。冷戦末期に採られなかった道として、ロシアのヨーロッパへの包摂(西ドイツの一部とフランスの路線が排除)、米ソによるアフガニスタンなど第三世界からの無責任な撤退とは異なる態度、北朝鮮との関係改善(90年代半ばにはアメリカのイニシアチブによっては別の可能性があったという)が取りあげられる。上下通じて全体像がバランスよく示されており、近年研究がすすんだらしい80年代からの動向も勉強になった(80年代後半が親ブッシュ政権のもと米ソ核軍縮の「失われた機会」と評価されているとのことなど)。ただ講義と関係では、中東問題をどう位置づけるかが困難なところ。