wsfpq577’s blog

日本中世史専攻、大学非常勤講師などで生活の糧を得ていますが(求職中)、ここでの発言は諸機関とは全く無関係です

吉次公介『日米安保体制史』

本日で火曜講義は本年最終。11回目でパリ講和会議までしか進むことができず、1月の3回で冷戦終結までたどりつくか危機的。やはり第一クールを圧縮すべきだった・・・。そんな中で、電車読書は現代史のお勉強のため衝動買いしたものhttps://www.iwanami.co.jp/book/b376441.html。安保体制の形成から現代までを通史として叙述されており、昭和天皇が80年代までこの問題に関して政治的発言を繰り返していたこと、本土の基地縮小の画期が73年の関東横田集約にあったこと(内灘のイメージが強く、もっと早いと思い込んでいた)、外務省を中心とするあきれるほどの「飼い犬」的対応(著者ではなく当方の造語)など、いろいろ知ることがあり、70年代末に安保体制が「日米同盟」に変容し始め、冷戦後に「日米同盟」関係が定着したという、構図も興味深いところ。ただこれが純軍事的な面のみで論じられているのは少し疑問。もともと指摘があるように60年安保条約第二条には「締約国は、その国際経済政策におけるくい違いを除くことに努め、また、両国の間の経済的協力を促進する」といういわゆる「経済」条項が含まれており、70年代末以降の関係を「日米経済摩擦」を抜きに理解することはできず、アメリカの要求も安保問題が単独で存在しているとは思えない。湾岸戦争130億ドルにしろ、米軍が自衛隊に本気で純軍事的協力をのぞんでいるというより、むしろ諸要求で譲歩させるための手段として用いられているように見え、その点を無視するのはやはり片手落ちではないか。とりあえず辺野古の署名だけはしてみたがhttps://petitions.whitehouse.gov/petition/stop-landfill-henoko-oura-bay-until-referendum-can-be-held-okinawa財政破綻するまで安保に全部賭が支持されるのは全く理解できないまま時が過ぎる。