wsfpq577’s blog

日本中世史専攻、大学非常勤講師などで生活の糧を得ていますが(求職中)、ここでの発言は諸機関とは全く無関係です

高島正憲『賃金の日本史』

本日は枚方3コマ。印刷した資料の一部に今回と異なる部分があるという痛恨のミス。あわててOneDriveからファイルを引き出し、何とか開始時間までに取り繕うことができたのが幸い。そういうことを露とも知らず行きがけで読了したのが表題書。専門書は断念したのだがこれぐらいはと思って学会で購入していたもの。研究手法とその限界が丁寧に説明されていたのは好印象だが、中世都市の表には違和感があり、そもそも物価史をちゃんとやらないと賃金史にまで踏み込めないのではないかというのが率直な感想。それと別に近世部分で「都市に生まれた職業」として猫の蚤取りなどを紹介することにどういう意味があるのか全く不明。個別経営資料などは大量にあるのだから、もう安政地震による職人賃金の高騰以外にもう少し本題について説明してほしかったところ。なお18・19世紀の生存水準の国際比較はこの分野ならではで、ミラノと北京・東京の水準が変わらないというのも興味深かったが、白黒グラフの読み取りは老眼にはしんどかったというのも実情。

賃金の日本史 - 株式会社 吉川弘文館 歴史学を中心とする、人文図書の出版