wsfpq577’s blog

日本中世史専攻、大学非常勤講師・研究員などとして生活の糧を得ていますが、ここでの発言は諸機関とは全く無関係です

明日香壽川『グリーン・ニューディール』

本日は枚方定期試験、雨と学研都市線遅れの情報のため別ルートで出勤。案の定開始五分前で1/4ほどが空席で、それから10分ほどゾロゾロと入室し何とか終了。帰路は戻っていたのだが、乗り合わせた電車が異常音を感じたとのことで30分間停車(置き石とのこと)。おかげで読みさしの表題書を読了。お名前を見かけたことがあり衝動買いしていたもの。COP2からオブザーバー参加し、仙台石炭火力発電所差し止め訴訟原告団事務局長(結果は敗訴)をつとめるなど実践活動にも従事してきた著者(肩書きは東北大学環境科学研究科教授)が、気候変動問題に関する国際会議における議論をたどったうえで、2018年以降にアメリカで高まった第二波グリーン・ニューディールを紹介するとともに、EU・中国・韓国などでの取り組みにも言及し、著者も関わった日本版を提示。そこにはらむ問題点とあわせて、斎藤幸平氏の議論の誤りと切迫性のなさを指摘。①気候変動の被害が深刻になるのは将来、②対策をするとコストがかかる、③他の国がやっていないから不公平、という風潮の克服を説いたもの。国際的な現状が俯瞰されており、83頁「GDP当たり一次エネルギー消費量の変化割合」の1980年代にトップを走っていた日本のそれ以後の停滞ぶりもクリア(他の指標もそうだがバブル崩壊後に完全に後ろ向きになった政治経済+学問)。なお著者は博士課程は微生物利用学研究室で、スイスに留学して動物免疫反応の研究をしていたところから、エネルギー・温暖化問題の科学・技術や政治経済的な側面に転換したとのことで、ウィキペディアによると「日本生まれの在日華僑」とある。

グリーン・ニューディール - 岩波書店