wsfpq577’s blog

日本中世史専攻、大学非常勤講師などで生活の糧を得ていますが(求職中)、ここでの発言は諸機関とは全く無関係です

大コメ騒動

本日出かけたのは表題の映画が今日で終了のため。せっかく邦画で近代史を扱っているので、観ておかなければと思った次第だが、100席の会場に当方より高齢の男女が20人弱というところ。富山の仲仕女性による米騒動を題材にしたもので、富山出身の監督のもと、キー・パーソン(トリックスター)の室井滋、悪役の左幸子など富山出身者が多数起用され、最大限方言を生かす演出が行われたようにみえる。主演の井上真央も含め肉体労働者にみえるだけの演技はしており、階級による生活の相違もリアルで、女性のみの蜂起に障害者・乞食男性(らい病を思わせるメイク)を加えたのも興味深い。ただ近年の非暴力を強調する議論の影響・階級闘争への忌避(演説する社会主義者は女性たちからは完全に無視される)が、通俗道徳にとらわれたうじうじした印象を強め、予告編のいうような笑いはなくエンターテインメントとしての爽快さを失わせようにみえる。またCGでよいので俯瞰の映像はほしかったところ。

映画『大コメ騒動』| 1月8日(金)全国公開